糖尿病治療標的としてのナトリウム – グルコーストランスポータ

新規の治療標的としてのナトリウム-グルコーストランスポータ

Sodium-glucose transporter as a novel therapeutic target in disease.

SGLT2

SGLT2

ブドウ糖は人間の主たるエネルギーである。グルコース輸送体であるナトリウムグルコース輸送体(SGLT)は、疾患における新規の治療標的として注目されている。このレビューは、SGLT機能の分析を奨励している脳虚血、癌、心臓疾患、および腸虚血におけるSGLTの生理学的役割を要約する。脳虚血および心筋症では、SGLT1は傷害の悪化に関与している。さらに、SGLT1は癌の発生を促進する。一方、SGLT1は、心臓および腸の虚血に対して保護効果を有する。興味深いことに、SGLT1発現レベルは、脳虚血および癌におけるようないくつかの疾患組織において増加する。これは、SGLT1が多くの疾患において重要な役割を果たす可能性があることを示唆している。このレビューでは、新規治療薬の標的としてのSGLTの可能性について論じている。心血管イベントの発症阻止を睨んだ糖尿病治療においては、SGLTに対する治療を強化していくことが求められる。HbA1cのみならず、血糖日内変動に配慮した質の良い血糖コントロールが重要である。具体的には低血糖と食後高血糖を避け、血糖日内変動を平坦化することである。

現在、わが国では経口糖尿病薬の第一選択薬としてDPP4阻害薬が約70%使用されていると言われている。最近ではDPP4阻害薬とSGLT2阻害薬の併用の有用性が報告されている。SGLT2阻害薬による高血糖の改善は、糖毒性を解除させて、ブドウ糖応答性インスリン分泌も改善させる成績が報告されている。DPP4阻害薬の投与にもかかわらず血糖コントロールが不十分な症例において、SGLT2阻害薬の追加投与で速やかに高血糖が改善することよりインクレチン応答性インスリン分泌が改善し、さらにSGLT2阻害薬の尿糖排泄促進作用によるカロリーロスにより体重が減少してインスリン抵抗性も改善する結果、先行投与されていたDPP4阻害薬の血糖変動幅減少作用が増強されると考えられる。両者の併用は相加的な血糖改善作用、体重減少、インスリン抵抗性改善作用に加えて、血糖変動幅減少作用が増強して良い血糖コントロールをもたらす。糖尿病内科において、長期的に心血管イベントの抑制に寄与するものと考えられる。

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